2024年9月 武道史の研究

※このレポートは2022年10月に掲載されたものの再録です

その8 高杉晋作が学んだ剣術

前回のレポートで紹介した松下村塾で吉田松陰から学んだ弟子たち。その中でも久坂玄瑞と1,2を争ったのが高杉晋作である。高杉晋作と言えば身分によらない志願兵による部隊「奇兵隊」を創設した人物として有名な人物である。

その高杉晋作が学んだ剣術が柳生新陰流である。おそらく一般の人に宮本武蔵の二天一流と並んで最も知名度が高いのが柳生新陰流であろう。

 新陰流は念流、神道流、陰流等を学んだ上泉信綱がその中でも陰流を発展させたものとして新陰流と名付けたものである。上泉信綱から新陰流を継承したのが柳生宗厳であるが、柳生宗厳が伝えた「新陰流」は一般には「柳生新陰流」と呼ばれることが多い。しかし、あくまでこれは俗称であり、正式な流儀名は「新陰流」である。

「新陰流」の特長は攻めと受けを別々に考えるのではなく、常に表裏一体として転がる丸い玉のように状況に応じて変化し、自在に応じて勝つことであると言われている。

柳生新陰流の道統は尾張柳生家代々の師範と尾張藩主徳川家の協力によって正しく伝承されて、第22世宗家柳生耕一厳信先生に至っている。

また、高杉晋作の柳生新陰流の師である内藤作兵衛は防具着用の剣術を大石進種次に遊学して学んでおり、高杉晋作の学んだ柳生新陰流には大石神影流の

要素が含まれているとも言えるのである。

 

参考文献

  「吉田松陰と松下村塾」 古川 薫著 新日本教育図書

 

  「正伝・新陰流」    柳生厳長著