2023年 10月 根津美術館訪問

企画展「甲冑・刀・刀装具」光村コレクション・ダイジェスト観覧

 

 「刀」等武具の見る目を養うにはとにかく様々なもの、できれば良いものを見ることが大切。というのは森本先生のお言葉である。であるので私も機会を見つけて博物館等に観覧に行くように心がけている。

 今回は青山にある根津美術館で企画展「甲冑・刀・刀装具」光村コレクション・ダイジェストが開かれるということを知ったため、刀・刀装具の勉強を兼ねて観覧に向かった。

 根津美術館は、東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(18601940)が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館である。

コレクションの大部分は、初代根津嘉一郎の旺盛な蒐集の成果である。蒐集の対象は、日本・東洋古美術の広いジャンルにわたり、根津美術館コレクションの幅の広さにつながっている。また晩年、自ら青山と号して茶の湯をたのしむなかで集めた茶の道具の数々も、コレクションの重要な柱となっている。

明治42年(1909)、初代根津嘉一郎は3000点以上におよぶ刀剣・刀装具のコレクションを、実物を見ることなく一括購入した。自身に刀剣の趣味はないものの、苦心の大蒐集だから買ったと言われている。それが、実業家・光村利藻(みつむらとしも)(号 龍獅堂(りゅうしどう)・18771955)のコレクションである。

今回の展覧会では、現在根津美術館で所蔵する約1200点の中から選りすぐった作品を、初めて甲冑を交えて紹介している。

私が訪問したのは平日の昼間、しかも突然の降り出したゲリラ豪雨の最中というコンディションであったが幅広い年齢層の人々、外国人観光客といった人々が多数来場されていた。

主な展示作品には企画展のポスターのメインとなっている「浅葱紺糸威胴丸具足(あさぎこんいとおどしどうまるのぐそく)」といった甲冑。刀剣は重要美術品に認定されている「太刀 銘 長光(ながみつ)」。刀装具は「地獄太夫図鐔(じごくだゆうずつば)」鍔といったものが展示されていた。刀剣は計21口が展示されていたが中でも私が最も興味を惹かれたのは「短刀 銘 備前國住長船治光/佐々木伊豫守」であった。佐々木伊豫守(尼子経久)の名前が茎に刻まれていることから尼子経久の所持品だったと考えられている重ねの厚さが1cmはある平造り・内反り・庵棟の短刀で鎧通しらしい造りだった。

 今回は展示室の写真撮影が禁止されていたため、残念ながら写真を掲載することは出来なかったがこれら以外にも素晴らしい展示品が多数あった。

 今後も刀・刀装具への見聞を広めるため、積極的にこういった博物館・美術館に行きたいと考えている。

 参考文献

  根津美術館ホームページ

 

  企画展「甲冑・刀・刀装具」光村コレクション・ダイジェスト 出品目録