古武道の稽古を続けることによってどのような効用があるのか?私自身の体験から感じたことを記してみたいと思います。先ず、身体的なことについては長距離を歩くことが苦にならなくなりました。広島在住時は毎朝1時間ほど近くの山道を登っていましたが稽古が進むにつれて足にかかる負担がなくなり楽に登れるようになりました。居合の稽古により重力に抗しない立ち方、歩き方が身についてきたからだと思います。また、腕の力、指の力等が非常に強くなったように感じたことです。実際には腕や指の筋肉が落ちて細くなっているのですが、丹田の力が指先まで繋がることによって作用する力が大きくなったのだと思います。精神的な面では予想外のトラブルが起きても以前より落ち着いて対処できるようになったと感じます。また、相手の心を察して行動できるようになりました。稽古により自分の心の制御、相手との心の繋がりを感じとることができるようになったためだと思います。

 以上のような効用を私自身が感じていますが、これらはあくまで古武道の稽古の副産物に過ぎません。これら副産物を得ることを目的に稽古をしても効果は薄いものになるでしょう。初心の方は特にひたすら師の教えどおりに稽古に励むことが上達への一番の近道になるのだと思います